琴平6:40発の土讃線特急しまんと1号に乗車。早朝の阿波路を駆ける気動車特急のディーゼル音が心地よいです。

ところで今回のきっぷは「周遊きっぷ」を使っています。周遊きっぷとは、選択したフリーエリア内の普通・快速列車と 特急列車自由席が乗り放題となる「ゾーン券」と、出発地からフリーエリアまでの往復乗車券が2割引となる「ゆき券」 「かえり券」がセットになったセミオーダータイプの企画乗車券です。今回使用する四国全土タイプの「ゾーン券」は 12,500円で、船橋からフリーエリアの出入り口となる宇多津までの片道割引運賃が8,760円なので、周遊きっぷの合計としては 30,020円となります。これが6日間有効で、別購入となる往復時の特急券や寝台券とあわせると今回のJR代金は〆て 48,000円に上りました。バースデーきっぷなど、さらに安くなるきっぷはあるにはありますが、すべて鉄道利用で特急やら 新幹線やら使おうと思うとこれくらい掛かってしまいます。今回は寝台列車を利用したり帰りに新幹線の途中下車があったり するのでそのぶん高くはなっていますが、やっぱり鉄道旅行は高くつきますねえ。この他宿代やICカード代などで総計10万近い 豪遊旅となったのですが、学生時代には考えられないことです。学生時代には部活の合宿時に高崎から九州まで18きっぷで 往復したこともあるんですが、それはそれで今では信じられないですね・・・

今日は寝坊したら一日丸つぶれ

関東にはないディーゼル特急

唸るディーゼル音がいいですね

四国は全土的に山深い


ほんの20分ほどで阿波池田に到着。これから今日のメイン、祖谷渓の秘境めぐりです。祖谷(いや)渓は日本三大秘境のうちの 一つに数えられるほど山深い奥地で、有名なものとして三大奇橋のかずら橋がありますが他にも他所ではお目にかかれない 絶景・珍名所?が点在しています。
そんなわけで7:15発のかずら行バスでいざ日本三大秘境・祖谷渓へ。このバスは1日3往復しかないので、乗り逃がすと 次は3時間後ですので注意。
バスは段々と山へ入っていき、いつしかすれ違い困難、というより不可能な道へ。結構スリリング。奥深い渓谷が 紅葉の時期はすばらしいのでしょうけども、迂闊にマイカーで行こうとするのはやめたほうがいいと思われます。 眼下にはパステルカラーな水色の川が流れていて、浮世離れしています。こうして右へ左へ揺られながら50分ほど、 「風呂ノ谷」というバス停で下車。何もな〜い山道で降りたかと思うと、断崖絶壁にポツンと建つもの、それがなんと 「小便小僧」!!いや〜拍子抜け。こんなキングオブ山奥の足もすくむような断崖絶壁に、小便小僧が立っているんですよ。 残念ながら(?)小便はたれていませんが、この高さで用を足しても霧になってしまうらしいです。この岩の上で人々が 度胸試しをしていたのを模して造られたとのことですが、実際見てみると目もくらむほどというか距離感がわからなくなるほど 高い、というか深いです。絵に描いたような深く切り立ったV字谷とその遥か下に流れるエメラルドグリーンの川がなにやら 桃源郷のような雰囲気を醸し出していて、覗き込んでいると次第に自然と吸い込まれていきそう・・なんてことはない、怖いし 足がすくみますわ。こんなところで度胸試しに用を足していた昔の人もすごいですが、ここに小便小僧を作ろうと思った人は なかなかセンスのある人だと思います。私が地元の人だったら小便小僧建立のためにいくらか私財を投入してもいいくらいです。


阿波池田到着

ローカルバスの旅

山と川と人里

硫黄泉のようなミルキーさ

山へ山へ

こんなところで下車したのも・・

君!こんなところで何を・・

目もくらむ高さ

近寄り過ぎないようにね

わかったよ!お前は度胸があるよ!

秘境の名に恥じない山奥

過不足なし?1日3往復

小便小僧なんてつまらん!という硬派な貴方、大丈夫、ここへ来る価値はもう一つあります。小便小僧から歩くこと10分弱、 これまた断崖に立つのが「ホテル祖谷温泉」です。ここが今日の宿泊地・・としたいのは山々なのですが、生憎予算面で 折り合いがつかなかったので今回は日帰り入浴だけ利用させてもらいます。ここの温泉、日帰り入浴で1,500円もするのですが、 それでも立ち寄ってしまう理由がここにはあるのです。
とりあえず大浴場で汗を流した後は、一度着替えて館外へ。建物の横になにやらゴンドラ。そう、ここはケーブルカーのある 温泉なのです。谷底にある露天風呂まで高低差170m、所要時間5分の小さな旅。ケーブルカーのある温泉といえば長野の 小諸にある菱野温泉に行ったことがありますが、あちらは上って、こちらは下って温泉へ向かいます。ゆっくりと川岸の高さ まで下った先に、これはこれは趣き深い露天風呂が。温泉がドバドバと流れては、直接川へと捨てられていってます。 温度はぬるく、白い湯の花が大量に舞い、仄かに硫黄臭を感じ、川のせせらぎ木々のざわめきを聞きながら時が経つのを忘れて入浴。 嗚呼、なんという贅沢。これはロケーションといい泉質、佇まいといい、今までで一番いい温泉だったと思います。日帰りなら 時間に余裕を持って、できれば宿泊で訪れることをお勧めします。私も、季節を変えて、時を変えて、自然の息遣いを感じに 極上の湯に身を任せに、また訪ねたいと強く思う場所でした。

かずら橋方面へ

ホテル祖谷温泉

ケーブルカーで谷底へ

傾斜角42度

かけ流し露天風呂

もったいないほど流れていきます

渓谷美に癒される

極楽〜ずっと貸切状態でした

秘境の秘湯

1時間近く入っていましたよ


山奥まで来た甲斐あっていい湯に浸れた後は、バスに乗り下界へ。折り返しではなくかずら橋経由で。祖谷川が作り出す 切り立った渓谷や急斜面に立ち並ぶ落合集落を横目にバス旅。こういう田舎の路線バスに乗るのはわりと好きです。
かずら橋で乗換の必要があるので降り立ち、ついでということで見学。有料なので渡りはせず。このあたりは平家落人伝説が あり、かずら橋も平家一族が追っ手から逃げるためいつでも切り離せるようシラクチカズラという植物で作ったといわれています。 さすがの有名なかずら橋には多くの観光客がいて、若いグループも多くて驚きました。ここからは三好市営のマイクロバスで 大歩危駅まで。かずら橋と大歩危駅を結ぶ路線バスはほかにもあるはずなので、祖谷温泉や小便小僧よりは来やすいです。 それでも是非祖谷温泉のほうにも行ってほしいですけどね。そのほかこの近辺には野猿かずら橋や奥祖谷観光周遊モノレール、 塩塚高原の山焼きなど、気になる見どころがまだあるので、是非とも泊まりで回ってみたいです。

大歩危駅には12:30に到着。なんか戻ってきてしまった〜という感じですね。ここ徳島県三好市は子泣き爺の発祥の地 らしく、駅に子泣き爺の木彫りがありました。大歩危というもなかなか面白い地名ですが、その隣に小歩危もあるというから なんとも脱力。12:52発の特急南風7号で、さらば祖谷渓。


急峻な地形ですね

落合集落は重要伝統的建造物群保存地区

三大奇橋・かずら橋

3年に一度架け替えられているとの事

大歩危駅行のバスに乗り継ぎます

大歩危駅着 祖谷の表玄関

子泣き爺現る

大歩危⇔小歩危

アンパンマン列車でした

どこかの小駅を通過〜


13:33御免駅に到着。ここから第三セクターの土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗ります。ごめん・なはり線は建設が 凍結されていた国鉄阿佐線を引継ぎ第三セクター鉄道として平成14年に開業した、旧鉄道建設公団最後のローカル新線です。 これから終点の奈半利まで乗りつぶすのですが、乗車予定のオープンデッキ車両「やたろう号」までは時間があるので、一本前の 快速に乗り一駅だけ移動します。快速は土佐くろしお鉄道の標準タイプの気動車でした。
後免町で下車。高架無人駅ですが、ここは路面電車の土佐電気鉄道の乗換駅です。ごめんなはり線の各駅にはキャラクターが それぞれいるらしいのですが、そのデザインは地元出身のやなせたかし氏によるものだそうで。そんなわけで駅前のベンチには アンパンマンが座っていました。ちなみに後免町駅には「ありがとう駅」という愛称までつけられています。
さて、ここから土佐電に乗って高知駅まで行くことも出来ますが、ごめんなはり線の乗りつぶしが済んでません。 ここで下車したのはアンパンマンに会いにくるためではなく、土佐電後免町駅の案内所へ寄るため。 案内所で土佐電のICカード「ですか」の竜馬デザインバージョンが発売中なのです。竜馬デザインカードは 2009年年末に発売開始しましたがまだ売れ残っているようで、発売枚数1万枚は出しすぎじゃないかと思われますが・・。 まあ無事に購入できたのでよしとします。なお、通常デザインのカードは前回の四国ツーリングの際に購入しています。


土佐くろしお鉄道に乗換え

軌道が新線っぽいですね

後免町駅ことありがとう駅

待ちぼうけのアンパンマン

土佐電が来ました

やたろう号はクジラのデザイン

ごめんなはり線に再び乗車。こんどはオープンデッキ車両の「やたろう号」です。この先太平洋沿いに走るごめんなはり線の 景色を楽しむために造られた片側が屋外デッキになっている観光車両で、特別料金などは不要で乗車券のみで乗車できます。 外見から内装まで先ほど乗った標準タイプの気動車と大違いですが、これでも同じ「9640形」です。室内は海側が ボックスシート、陸側は室内の狭さを補うためかB開放寝台車の通路にあるような跳ね上げ式のベンチシートとなっており、 超海側重視の設計。運転台付近は異様に広いフリースペースとなっています。目玉のデッキ部分に出てみると、視界を遮る 支柱がないのでかなり開放感があり、風がビュンビュン吹き込んできます。どれをとってもかなり異色な車両で、観光の 目玉になりそうです。これが団体専用や土休日限定運用ではなく定期運用に入っているというのがまたすごいです。
さすがの 太平洋に面した区間は圧巻。特に西分〜赤野間がハイライトで、松林の向こうはすぐ砂浜と海ですから、これは気持ちがいいです。 しかも案外海沿いを走る区間は長いので、十分楽しめます。というか私もさすがに寒くなって途中で室内へ戻りました。。 冬場や悪天候時なんかは逆にアレですね・・。ちなみに「やたろう」とは安芸出身の実業家岩崎弥太郎にちなんでいます。

オープンデッキを十分楽しんだところで安芸に到着。やたろう号は安芸止まりなのでここで途中下車。駅の1階には 物産館があるのでお土産購入に最適。私も高知名物芋けんぴを購入。
再びごめんなはり線に乗り込み、終点奈半利をを目指します。このあたりの海岸では冬場に太陽が地平線に沈むときに 2つくっついたようにみえるという「だるま太陽(Daruma San)」が観察できるらしく、今度来るときは見てみたいです。 安芸を出発してからは20分ほどで終点の奈半利に到着。ここから室戸岬まではバスで1時間らしいですが今回はやめておきます。 奈半利駅には併設してイタリアンレストランがあるというのでここで遅い昼食。名産のちりめんじゃこを使った梅スパゲティと シーフードサラダで優雅な昼下がりを堪能。・・するほどの時間もないので急ぎ目で食べ、15分ほどで食事終了。16:09発の 折り返し列車で帰ります。いつかは柚子で有名な馬路村や室戸半島の東海岸にも行きたいですね。行きたいところ、 また訪ねたい場所がまだまだたくさんあります。こうして旅をしながらも、次の旅に思いを馳せるのでした。。

奈半利から乗った列車はそのまま高知へ直通するのでこのまま乗車し、17時半頃高知駅に到着。今夜の宿泊地は高知。 秘境といわれる山奥に太平洋を望む海岸と、自然を満喫した一日でした。


ここだけの車両

飛び乗り乗車禁止!

ローカル線には惜しい軌道

こりゃすごいわ〜

潮風がいいですね

夏場は海水浴客でいっぱいかな

安芸駅のあきうたこちゃん

冷製ちりめん梅しそパスタ@奈半利駅

現代的な高知駅

土佐三賢人