ローカル鉄道乗車記 
〜東関東編〜         



3・11に発生した東北地方太平洋沖地震は、関東でも千葉・茨城に大きな被害を残しました。とくに茨城県内では鹿島臨海鉄道、ひたちなか海浜鉄道といったローカル線が被災し、長期運休を 余儀なくされました。それでも「がんばろう日本!」の合言葉のもと、様々な支援を受けてひたちなか海浜鉄道の一部区間と鹿島臨海鉄道の全線が運転再開にこぎつくことができました。 ひたちなかの残りの区間も近いうちに運転再開ということで、ひとまず安心。 そこで、真岡鉄道なども含めてまだ未乗路線の多いこのエリアへ乗り鉄しに行くことにしました。






船橋に停車する数少ない特急のうちのひとつ、しおさい1号がトップランナー。今日は東関東のローカル線がメインなのでそこまでのアクセスは特急で快適に。
佐倉からは成田・鹿島線の鹿島神宮行に乗り換え。房総の普通列車はすっかり209系が多くなりました。途中の成田で切り離させるほうに乗ってしまったため、成田で鹿島神宮行の編成に乗り換えました。
利根川を渡ります。このあたりは水郷地区で長大橋梁&高架が続くため見晴らしがいいです。鹿島線も震災の影響で延方〜鹿島神宮間が1か月ほど不通になっていました。
車内は空いています。房総用の209系は先頭車両がセミクロスシートになっているので、長いこと乗るならボックスシートを確保したいですね。私は成田で車両移動した関係で確保ならず・・。
鹿島神宮に到着。佐倉からは1時間20分ほど。
関東とはいえここまで来ると有人改札のようです。Suicaはエリア外で簡易改札機もありません。ちなみに今日はJR線を普通乗車券で旅しています。
鹿島神宮には自転車ツーリングで来た事があります。電車で来たのは初めて。駅前には高速バス停留所があり、この地域の東京方面へのメインルートは高速バスのようです。
30分少々の待ち合わせで、10:38発の鹿島臨海鉄道に乗ります。JR鹿島線とは同じホームの発着。ローカルムードたっぷりの1両ディーゼルカー。
車内は転換クロスシートなので、約1時間の乗車も苦にならないでしょう。
発車すると程なくして鹿島サッカースタジアムが見えます。臨時駅の鹿島サッカースタジアム駅が本来JRと鹿島臨海鉄道の境界駅ですが、実際はJR鹿島神宮駅への鹿島臨海線の片乗り入れという運行形態となっています。 臨時駅のため試合開催日以外は全列車通過しますが、乗車券はなぜか通年でこの駅まで購入できるそうです。
JR貨物の機関車が停まっていました。鹿島サッカースタジアム駅までは鹿島臨海工業地帯を通る貨物線があるため電化されています。
鹿島神宮から3つ目、長者が浜潮騒はまなす公園前駅は南阿蘇鉄道の南阿蘇水の生まれる里白水高原駅と並んで読み仮名で日本一長い駅名です。南阿蘇〜よりは自然な駅名だと思います。
さて、この鹿島臨海線は地震の影響で路盤が崩壊し線路が宙ずりになったりと甚大な被害を受けました。つい先日の7月12日に、最後の不通区間である大洋〜新鉾田間が復旧し全線運転再開となったのを機に今回旅を計画しました。 これまで路盤が新しくなったこと以外はそれほど地震と津波の面影を残していないように見えたのですが、よくよく見ると沿線には津波の影響でブルーシートを屋根にかぶせた家が見受けられるように。予期しなかった災害が人々の生活を一変させてしまったという現実を目の当たりにすると怖くなります。 今の自分には壊滅的な被害を受けた東北沿岸の被災地に赴いてそれこそ現実を直視するなんて勇気はありません。
そんな非力な自分が今無理なくできることといえば、こうして無事に復旧を遂げた路線に乗り経済活動をし、少しでも自分の目で見て考えることです。震災から4カ月がたち、緑の中を鉄道が以前のように快走する姿に少しだけ 安堵しながらも、これからの息の長い支援について考える必要があるかと思います。
列車はなかなかのスピードで文字通り快走するのでなかなかいいですね。さて一度大洗で下車します。大洗といえば苫小牧行きの太平洋フェリーが発着する大洗港が有名。タクシーにて5分の距離だそうです。大洗で下車したのは 太平洋フェリーに乗るためではなく、大洗鹿島線の数少ない有人駅のため。なんでも硬券の入場券などを売っているそうな。
入場券と復旧記念乗車券をゲット。グッズを売っている売店もあったので、長者が浜潮騒〜駅の駅名キーホルダーなども購入しました。大洗から先の水戸方面は列車の本数も増えるので途中下車しやすいです。
大洗駅で買った駅弁「三浜(さんぴん)たこめし」を車内で食べます。三浜地区はタコの加工高(?)日本一だそうです。タコが肉厚で旨味があります。
昼ごろ水戸に到着し、常磐線で勝田へ一駅移動。今度はひたちなか海浜鉄道に乗車します。水戸の鹿島臨海もそうだったのですが、JR駅改札内にまた専用の改札があります。
「みなと」ということでその名も「3710形」。ひたちなか海浜鉄道はもとは茨城交通湊線でしたが2008年に第3セクターとなった路線です。3セクとなってからは「駅猫おさむ」によるアピールや旧型車両の導入、 グッズのネット販売などで頑張っている会社です。
肝心の鉄道は見たところちょっと乗車率がイマイチですね・・。なおこの路線も地震の影響で路盤崩壊などの甚大な被害を受け、訪問日もまだ平磯〜阿字ヶ浦間が不通となっています。全線運転再開は7月23日だそうです。
そんなわけで全線再開には6日早い訪問となってしまいましたが、無事復旧ということで安心です。なお終点の阿字ヶ浦の先には全国規模な屋外音楽ライブフェスが開催される国営ひたち海浜公園がありますが、あまりアクセスは よくない模様。以前から延伸要望があるみたいなので復旧に加えて延伸したらいいのに・・と思うわけですが、さすがにそうはいかないようです。
平磯まで運転していますが、今回は途中の那珂湊で下車。有人駅でのグッズ購入と折り返しの便のためです。開業記念入場券などを購入しました。
駅には留置線が多くあるのですが、保存車両(?)もありました。

湊線のアイドル「おさむ」は今日はいらっしゃらない様子。残念。
勝田に戻り、水戸線で下館へ。水戸線は長閑というか単調というか、車両もロングシートだしあまり好きではないです。。
下館からは真岡鉄道に乗ります。こちらも初乗車。真岡鉄道といえばSL運転を行っていることで知られていますが、今回は時間が合わず普通列車利用です。いつかSLに乗りに来たいですね。
意外や真岡鉄道の車両は新車でした。わたらせ渓谷鉄道といい、いすみ鉄道といい、存続が決定している3セクはある意味強いです。カーテン省略のためか窓ガラスが青みがかっているのが残念ですが、座席はなかなか座り心地はいいです。
真岡鉄道は国鉄真岡線を民営化の際に3セク化した路線です。
真岡出身の友人が言うには、この路線は宇都宮に直結していないのが致命的らしいです。たしかに県庁所在地の宇都宮に直通していれば需要はあったでしょうし、沿線のベットタウン化も進んでいたことでしょう。あとツインリンクもてぎの アクセスにしては少し離れているのが残念。
今回は終点の茂木まで行かず、真岡で折り返します。真岡に到着すると、ちょうど上りSL列車が出発していきました。惜しくも写真は撮れず。
20分少々の乗車で真岡に到着。あっという間ですね。
ジャーン!
SLの形をしたこの建物、これが真岡駅の駅舎です。真岡鉄道本社と真岡市情報センターを兼ねた立派な建物で、関東の駅100選にも選定されています。 真岡市は「SLの走るまち」としてアピールしており、駅前には9600形蒸気機関車を移設して「キューロク館」なる展示施設も建設中です。
真岡駅は大通りから外れたところにあるのですが、駅舎内は賑わっています。真岡鉄道グッズを購入し、列車の時間まで近くのコーヒーショップで時間つぶし。
駅に改札口らしきものはあるのですが、基本車内精算方式なので使われていません。16:12発の列車で帰ります。
3セクながらSL運転を行い観光鉄道として頑張る真岡鉄道。少々アクセスしにくい土地ではありますが、SLの小さな旅と真岡駅訪問、そして新しく誕生する「キューロク館」を目当てに訪れてはいかがでしょうか。
小洒落た感じの下館駅。JR・真岡・関東鉄道が乗り入れる駅ではありますが、ターミナルという感じの駅ではありません。
帰りは関東鉄道常総線&TXで。常総線はパスモOK。
快速だと下館から守谷は途中停車駅は3つのみと、なかなかの快速っぷり。下館〜下妻間は廃止議論があるそうな。
下妻物語で知名度が上がった下妻。下妻市イメージキャラクターの「シモンちゃん」は対象年齢20〜30代男性。
TX乗換駅の守谷はTX側のりばと見紛うほどの関鉄らしからぬ洗練さ。なぜか「ゆめみの駅」開業記念乗車券を購入しました。
やっぱり130km/hは速いなぁ。
ラストランナーは武蔵野線。乗り通しの充実した1日でした。ひたちなか・真岡は全線踏破しにまたいつか行きたいですね。