〜1日目〜         











大井川鉄道の始発駅は東海道線の金谷。静岡よりも先で、在来線での移動では大変な苦痛を伴います。 そこで、まずは321M列車に乗ってみることに。


321M列車とは、ムーンライトながら定期運用廃止後も車庫までの回送運用のみが残り、東京〜静岡間往復が 373系普通列車として運用される大変乗り得な列車なのです。静岡発の列車(338M)は何度か利用したことがありますが、東京発ははじめて。これに乗るには船橋を始発に近い列車で出なきゃ ならないんですよね。


残念ながらこの運用も2012年3月のダイヤ改正で終了する予定。
車内は東京発時点こそ空いていたものの、 平日ともあって横浜への通勤通学客が増え、川崎あたりから満席に。座れればラッキーな列車ですからね。ただ2ドアなんで通勤時間帯の運用に入るには乗降に時間がかかるのが難点。
混雑具合は夜に上る338Mよりはマシでした。大船を過ぎてからはまた空いてきました。


2時間弱で熱海に到着。列車は静岡行なのでこれに乗り続けていくつもりだったのですが、ちょっとしたハプニング発生。 viewアルッテでお金を下さないといけないのです。正直現金が全然なく、乗車券も全然足らない金額ので乗っているので早急に下さないと いけません。結局JR東最西端の熱海までねばり、そこでお金を下すハメに。てっきり始発時から下せると思って船橋駅で済ますつもりだったのに、違うんですね・・。昨日のうちに下しておけばよかった・・。
写真は駅前にあったJRの社員寮。


そんなわけで普通列車で金谷まで行く計画は断念。急遽予定を練り直します。静岡着は7:10でしたが、8時にならないと お金を下せないのでそれまで待機。そうすると金谷から乗車予定のSL急行に乗れなくなってしまうので、やむなくここは新幹線をチョイス。


8:13発のこだまでひとっ飛び。やれやれ、無駄な出費が・・。まあ、これでなんとかSL急行には乗り継ぐことができます。


朝から波乱含みでしたが、静岡で東海道線に乗り継ぎ、9時半過ぎに金谷に到着。熱海で1時間以上足止めを食らったのに、 あれからずっと東海道線で来た場合と20分くらいしか到着時間が変わらないとは・・さすが新幹線です。


さて、さっそく乗る予定のSL急行は金谷発のはずでしたが、なぜか普通列車に乗って新金谷でSLに乗換えろとのアナウンスが。 金谷駅は終点ですが転車台もなくホームも小さいため、SL入線には適していません。しかもマイカーや団体の乗客は隣の新金谷に乗りつけるため、金谷からの乗客が少ないと見込んだ日は新金谷発着にでも するのでしょうか。なお、今年10月でSLの金谷乗り入れは廃止され、すべて新金谷発着になるそうです。


SLまでの送迎のために仕立てられた金谷〜新金谷間一駅だけの臨時区間列車は元南海電鉄のズームカー。配色もそのまま。


新金谷に到着すると向い側にSL川根路号が停まっていました。C56型蒸気機関車は戦時中はタイで活躍していましたが、 奇跡的に日本へ里帰りすることができ、晩年を大井川鉄道で過ごしています。


先ほどの南海ズームカーは引き込み線へ。新金谷は車両基地も併設しています。しかし大井川鉄道、若い、というか「今時」な 感じの駅員が多いです。。なんか勝手なイメージですがすぐ辞めそうな・・。ってかすごい若いのとすごい年寄りの社員ばっかり。大井川鉄道も人材育成と技術の伝承には苦労してそうです。


駅の売店でグッズを買っていると、ツアー客がバスで登場。SL前で記念撮影大会。


大井川鉄道は日本で初めてSLの動態保存を始めた会社で、SLもC56以外にいくつか所有しており、「SL動態保存の スペシャリスト」を自負しています。SLといえば大井川鉄道というイメージはかなり浸透しているとは思いますが、地方のローカル私鉄がSLの動態保存をするとは大変なことです。ちなみに、一応 名鉄グループらしいです。


SLは車両保守も運転も最も熟練の技術を必要とすると思いますが、果たして若い社員の方々に受け継がれるのでしょうか? ツアー客のおばさんも、「こういう仕事は若い人は飽きちゃうわよね〜」と言ってました。


さて、発車時間も近づいたので客車に乗りこみます。客車もずいぶん年期が入ってます。


車内ももちろんクラシック!乗降ドアはなんと手動、扇風機にはJNRマーク、網棚は本当に網。


弁当が置いてある座席があります。おそらく復路の団体客でしょう。


近鉄特急とすれ違い。SL以外も動態保存と言っていいレベルの古参列車です。訓練列車に使われていて、今回乗車機会は ありませんでした。


SLは大井川に沿って快走。窓を開けていい車両というのも今や珍しいです。


今日の大井川は大雨の影響で少し濁っています。


21世紀とは思えない風景が、ここにはあります。


今日は乗客少なめ。車掌さんはおばさんだったりおじいさんだったり、すごい若いおねえさんだったり。やっぱり年齢構成がいびつです。


沿線には茶畑も広がっています。長閑〜〜










SLの本日の終点は途中の家山まで。団体客はここから再びバスに乗り込んでいきました。まあ、30分ちょっとの乗車時間の方が 飽きずにいいかもしれません。自分も景色を見て楽しませてもらいました。


引き込み線に入り給水中のC56。動態保存ならではの光景。


バックして再び客車と連結。今日は「がんばろう日本」のヘッドマークを掲げています。






家山駅。こちらも駅員さんはかなり若いです。。


時間が止まったような家山駅。
さて、次の下り列車まで40分ほどあります。ツアー客はいいでしょうけども一般客はこんなとこで 放り出されても困ってしまいます。乗り継ぎ列車をうまく設定してほしいところですが、仕方ないので案内板を見ると近くに展望公園があるらしいので、ぶらり散策することにします。


知らない街を歩くのも趣がありますね。


天王山遺跡だそうで、綺麗に整備された広場でした。


駅に戻ると今度は元京阪のテレビカーが止まっていました。


で、乗り込むのはまたしても南海車。


再びのんびりローカル線のたび。










ちょうど昼ごろ、千頭駅に到着。大井川本線の終着駅です。写真は元西武の電気機関車。


千頭は駅そばや土産物屋もある大井川鉄道観光の要衝。井川線の乗り換え駅でもあります。 なお、運賃は本線と井川線では別建てのため、通しで買っても千頭で買いなおしても同額となります。


さて、ここからは井川線に乗りアプト式鉄道を体験しようと思うのですが、井川線は 川根両国付近で落石の恐れがあるとのことで、千頭〜奥泉間が代行バス輸送になっています。運転再開してから乗りに来ようとも思ったのですが、アプト区間は運転しているので 今回代行バスも交えての乗車することにしました。実は、井川線よりバスの方が所要時間が短く、千頭から奥泉を経由して寸又峡温泉へ行くバスは以前から走っていたんですけどね。


それはさておき、奥泉駅に到着。なお、私が今日使うきっぷは「寸又峡フリーきっぷ」というもの。 金谷からの本線全線と、千頭から奥泉を経由して寸又峡温泉へ行くバスが乗り放題です。今日の宿泊地寸又峡温泉へ行くにはまだ早いので、奥泉から別途運賃で井川線アプト列車に乗ります。


井川線の車両が来ました。車両は小さく、ナローゲージ鉄道なのか?と思いきや、線路幅は本線と同じです。


登山鉄道らしいロゴマーク。車両の傷みは激しい様子。


車内はバスのような遊園地の乗り物のような。今日は全然空いているのでいいのですが、シーズン中は立ち客が出るほど 混みあうそうです。こういうのはゆったりと楽しみたいです。


列車はこれまでと違い山間の急峻な川岸を縫うように走ります。こんな険しいところを走る路線もそうそうないです。 井川線は中部電力から委託を受けて運行しているそうで、生活路線ではなく事業用と観光用路線です。






アプトいちしろ駅に到着。ここからが「南アルプスアプトライン」の名の通り、アプト式鉄道区間になります。


こちらが日本唯一で現役のラックレール。アプト式鉄道とはこの線路の間に敷かれたラックレールと、専用機関車の 歯車をかみ合わせることで急勾配を鉄道でも上ることを可能にしたシステムで、日本では旧信越本線の横川〜軽井沢間も一時期はこのアプト式鉄道方式を採用していました。現在はここだけなので、貴重です。


アプト区間専用の補助機関車がやってきました。


でかっ!ってか井川線の方が小さいんですよね。ダム建設の資材運搬用につくられたという経緯から、トンネルなどが小さく つくられているため車両も小さいんです。これなら機関車が頼もしく見えます。


スタイリッシュなアプトのロゴ。20thはおそらく平成2年に井川線の川根市代〜川根長島間が旧線から新線に変わり、 アプト式鉄道方式になってからの記念だと思われます。長島ダムの建設により、この区間は水没することとなったのですが、大井川鉄道は同区間を廃止せず、補償金を使って平成の世に新たにアプト式鉄道を 復活させたのです。その決断たるや恐れ入りますが、井川線の赤字額は中部電力が負担してくれるらしいです。


凸凹コンビで国内鉄道最急勾配の90‰に挑みます。


さすがにここまでこう配がきついとグイグイ上っているのがわかります。長島ダムも見え、景色良好!






アプト区間はアプトいちしろ〜長島ダム駅間のみですが、なかなかおすすめですよ。


レインボーブリッジが見えてきました。命名はお台場よりも先らしいです。


奥泉から30分、ほどなく奥大井湖上駅に到着。


奥大井湖上駅は接岨湖に突き出した半島上にある観光駅で、さながら湖の上にあるかのような雰囲気。鉄橋に挟まれ、 道路に出るまでは20分以上歩く必要がありまさに秘境駅です。列車によってはここで数分停車しますが、私はここで下車してゆっくり見学しようと思います。対岸には旧線の遺構も見ることができます。










レインボーブリッジの接岨峡温泉駅方面は人が通れるようになっており、この先へ行くと県道と有名撮影地があるので向かうことにします。 撮影地の県道からは接岨湖とレインボーブリッジ、駅が一望出来て素晴らしい光景。






















いや〜堪能しました。駅のすぐ裏にログハウス風のきれいな小屋があるのでここで列車が来るまで待ちます。


帰りのアプト区間も補助機関車連結しゆっくりと下ります。井川線、黒部峡谷鉄道と並ぶ秘境路線ではないでしょうか。 ここまで来るのは大変ですが、それだけの価値は十分あると思います!しかし紅葉の時期は大混雑でしょうね。。










さて、奥泉に到着し、ここからはバスで本日の宿泊地、寸又峡温泉へ。


こちらもなかなかすれ違い困難な狭くカーブの多い道を通ります。。マイカーではあまり来たくないな・・


駅からバス30分で寸又峡温泉に到着。本日のお宿はホテルアルプスさん。


寸又峡温泉はアルカリ性で美女づくりの湯といわれています。しかもpH.8.9と強めで、ヌルヌルどころかトロトロとした手触り! 温度もぬるくとてもいい湯でした。今夜は山間の静かな宿で一休み。